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TOKO PROJECT

シリコンバレー発のテックニュースを中心に発信しています。時々、食べ物や健康に関する情報を発信しています。トライアスロン挑戦中。

Fintech事例:ベルリンのスマホバンク『Number26』が一部の顧客に突然口座の閉鎖を通告。フィンテックの収益モデルに課題あり。

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Number26はスマホ時代の銀行を目指すフィンテックスタートアップ

www.youtube.com

※ドイツ語ですがアプリの感じがわかる動画です。

number26.eu

※公式サイトです。

 

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Number26(ナンバー26)はドイツのベルリンに拠点をおく、フィンテックスタートアップで、スマホ限定のオンラインバンキングサービスを提供しています。あのピーターティールも投資を行っています。

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「銀行の支店を時代遅れにする」、「レガシーな銀行とのコミュニケーションやモバイルバンキングアプリのユーザーエクスペリエンスは酷い」と標榜し、現代の銀行サービスのあるべき姿目指しています。現在160,000口座が開設されています。口座の開設もスマートフォンアプリで完結します。所要時間は4分で、書類の提出は必要ないようです。

 

大きな特徴として、ATMからの現金の引き出し手数料が無料です。Number26が他行に支払う手数料を負担しています。最低入金額などの口座開設要件もなく、口座管理手数料も取られず、また年会費が掛からないマスターカードも発行してくれます。口座借越も利用可能で、8-9%程度の年利です。海外送金も"Transfer Wise"という名前で提供しています。全てスマートフォンから申込・利用が可能です。

 

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正直デザインもサービス内容も、すごくイケているサービスです。カスタマーサポートも支店でも電話でもなく、当然チャットで対応してくれます。口座や利用状況が相手にある状態で会話が始められる為、本人確認や口座番号の入力などのストレスがないですよね。
 

 

通告なく一部顧客のアカウントの閉鎖を通告、そして炎上

そのNumber26が突如顧客に口座の閉鎖を通告し炎上しています。事前に説明がされなかった上に、Number26の誠意のない顧客対応にTwitter上では怒りや不安をぶつけたユーザーが大量に出ました。無料を売りにして提供しており、更に説明がなければ当然ですよね。
 

 

その理由は先に紹介した、引き出し手数料の負担です。 この引き出し手数料無料は、ユーザーが必要以上の頻度でそれを行わないことを前提にしてたが、結果的にこのコストがNumber26の財務を圧迫しました。対象となったのは月に15回以上の引き出しを行ったユーザーです。また、マネーロンダリングなどの怪しい動きをした口座も閉鎖の対象になったそうです。全体で百数十の口座なので、全体から見ると本当にごく一部です。
Essentially, Number26 let users withdraw money for free on the assumption that they wouldn't really do it very much. But people did use it and it ended up costing Number26 too much money.

  

今回の一部口座の閉鎖について、Number26は以下のような説明を行っています。要約すると"目指す価格でサービスを継続するために、月に30回引き出し50ユーロのATMのコストを発生させるユーザーを抱えることはできず、それは全体から見てごく少数のユーザーが多大なコストを発生させる事だ。"

We are offering the best products at the fairest price in the market and try to apply the lowest fees possible for all services. However, we have had to recognize that sustaining customers that withdraw cash 30 times a month and just for that incur cost of more than € 50/month for Number26 - as we cover the ATM fees - means that the vast majority of our customers would have to bear the significant cost burden of a very small minority.
 

Only on Sunday did the company finally find its voice again, admitting that it had made a mistake. “We would like to apologize to the customers affected by our failure to communicate openly and actively,” it said in a statement.

その後Number26は、今回の決定に際し、説明が足りなかったことを謝罪しています。

フィンテックスタートアップのビジネスモデルに疑問の声

フィンテックスタートアップの収益性に疑問が上がっています。記事によると、大半のフィンテックスタートアップは依然として、伝統的な銀行のインフラに従ってサービスを提供せざるを得ず、人員や支店を持たない強みはあるが、送金などのコストを下げることはできていない事に原因があるそうです。また、ビジネスモデルとしても、取引から得られるわずかな手数料や預金の運用益についてもサービスがスケールすることが前提で、それまでに多額の資金が必要です。いざ収益化しようと課金を行おうとする(例えば10回以上の引き出しは有料)とユーザーが逃げてしまう可能性があります。競合のMoneseはこの難しさから月額課金モデルに変更を行っているそうです。
Most fintech startups still run on the traditional infrastructure of mainstream banking. They may not have a big staff and branch network to maintain, but things like transfers and direct debits cost them the same as your Barclays or HSBCs. It is only VC money that lets them keep prices artificially low — at least that's the argument.

But ING's Legrand highlights that it's not cheap to reach the scale that would really interest banks. He told BI earlier this year: "It’s good to acquire customers but I can tell you when we started ING Direct it was a 10 to 15 years process. Eventually, we accumulated about €1 billion of losses. It’s not €20 million of capital you need if you really want to be serious."

 

ブログを書く楽しみは、言及した企業やサービスがその後どうなるのかにアンテナを貼ることができ、視点の振返りができることですね。楽しみです。

 

※Number26のファウンダーのピッチの動画です