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シリコンバレー発のテックニュースを中心に発信しています。時々、食べ物や健康に関する情報を発信しています。トライアスロン挑戦中。

報道の自由:シリコンバレーの投資家ピーター・ティールが支援した名誉毀損訴訟でメディアが倒産した騒動でメディアに対して思うこと

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画像:beforeitsnews.com

 

今日は珍しく思う所を書いてみます。

wired.jp

 
Wiredが好きなので、こんなガッカリなこと書くメディアだっけ?と思ってしまいました。この騒動については以前コチラの記事で書きました。
 
端的に説明すると、「ピーター・ティールなどの資産家がメディアに対して名誉毀損などで訴訟を自ら起こすだけでなく、資金面でバックアップすることにより、訴訟に対抗する力を持たないメディアが萎縮し言論の自由が損なわれる恐れがある」という内容です。
 

今回の訴訟ではハルク・ホーガンのセックステープをGawkerがオンラインで公開し、プライバシーの侵害で訴えられ140億円あまりの賠償を命じられ倒産に追い込まれました。ピーター・ティールは過去に自らがゲイであることをGawkerに報道されたことからその報道姿勢に個人的な思いがあったと述べています。

負担すべき見えていないコスト

ハルク・ホーガンへの1億4,000万ドルの賠償金と、長期化する見込みの法廷闘争は、ゴーカー・メディアを倒産に追い込んだ。Gawkerのブランドはジャーナリズムの名に値しない、と思っている言論界の軽薄なメンバーもいるだろうが、これは他人事ではない。世界中のピーター・ティールが、次に自分たちに向かって来るかもしれないからだ。

 

今回の騒動で、メディアやジャーナリズムの在り方に対して思うことは、ビジネスとしてメディアを運営し対価を得ている以上、

 

「前提として何を報道し(選択)、何を言うか(言論)、は完全に自由であるが、受け手にとってその価値が低いものは注目を集めない。更にそれがマイナスである時は何かの形で代償が必要である」ということ。

 
広告で生計を立てるメディアのビジネスはオーディエンスなくしてあり得ません。よって価値のある事を伝えるメディアが儲かり、その逆もある、というのは他のビジネスと何ら変わりありません。ただ、今回の騒動で「言論の自由が!」というメディアが多いところを見ると、ひとつ視点が抜けているなと思うのは、見えないコストに対する意識です。
 
今回、Gawkerメディアが支払を命じられた賠償金は彼らがこれまで得てきた収益を得るために必要だったコストだと考えます。(万が一にもハルク・ホーガンのセックステープを報道することに価値があったとしても)、本来は手に入らないはずのソースを許されない手段で入手し利用した。これは他のビズジネスに置き換えるとこの報道というプロダクトを生産するために、本来負担しないといけない費用なんです。これが見えていない気がします。事業が儲かっていると思っていたが、実はハルク・ホーガンの記事により最終的には赤字だったということではないでしょうか。
 
執筆をしたオーウェン・トーマス(現在は『San Francisco Chronicle』のビジネスエディター)によると、そもそもティールは友人や同僚に対して自分の性的傾向を隠さなかったというのだが、むしろ記事の焦点は、多くのヴェンチャーキャピタリスト(VC)たちに特有の「偽善」に異議を唱えることにあった。彼らは体制に同調しないことを重視する一方で、異なった性的傾向の噂をひた隠しにする傾向がある。こうした点を追及する姿勢こそ、Gawkerの編集方針といえるものだ。

 

これも"?"です。ちなみにその記事はコチラ。タイトル。

gawker.com

メディアが批判し変化を求めるべきは、金持ちでなくシステムではないか

そして彼は、やり遂げた。ハルク・ホーガンへの1億4,000万ドルの賠償金と、長期化する見込みの法廷闘争は、ゴーカー・メディアを倒産に追い込んだ。Gawkerのブランドはジャーナリズムの名に値しない、と思っている言論界の軽薄なメンバーもいるだろうが、これは他人事ではない。世界中のピーター・ティールが、次に自分たちに向かって来るかもしれないからだ。Gawkerは消え、報道の自由は死に、金をもつ者が残る|WIRED.jp
 
アメリカでは報道の自由を守る為に、メディアに対してむやみやたらに訴訟をすることが禁じられています。今回の件のように、当事者でない者が訴訟に資金援助することは禁じられていません。これは現時点では禁じられるべきではないです。黙らせたいメディアを攻撃する手段にもなりますが、資金がなく泣き寝入りするしかない者が訴え出る手段を閉ざす事にもなります。
 
メディアは訴訟を起こされたとしても、社会的に報道する価値が相応にあり、主張を構成する根拠と証拠があれば戦うことができます。お金さえあれば。問題があるのはココで起こされた訴訟に対して、裁判で戦うのにカネが掛かり過ぎることです。この仕組自体が問題であり、メディアが批判や提言を起こすべきポイントはこっちだと思うんです。
 
Recode 2016でAmazonのジェフ・ベゾスは以下のように発言しました。
"Beautiful speech doesn't need protection; ugly speech does."
 美しい主張に防御はいらない、醜い主張には必要だ