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Welq(ウェルク)で炎上しているDeNAがこんな事業をしないといけない訳。決算書で見るDeNAのジレンマ。

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医療情報キュレーションサイト:Welq(ウェルク)でDeNAが炎上中

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東証一部上場企業のDeNA(ディー・エヌ・エー)が運営する医療情報キュレーションメディア「Welq(ウェルク)」がネット上で大炎上しています。その理由はデマや信憑性が低く薬事法にも抵触しそうな記事の数々です。ついに「専門家による記事のチェック」を行う旨の声明を出しましたが内容が物足りず更なる怒りを生んでいます。

そして、コンテンツの作成過程にも問題があると言われていて、外注ライターがネット上の他のコンテンツをコピペ→編集しただけの記事も多数存在するようです。ネット上の告発等を見る限り医療関係法人等のサイトからコンテンツを作成していたようでコンテンツをパクられた(不適切な引用)されたという被害も報告されています。

DeNAってなんでこんな事になっているの???決算書・資料で見るDeNA

実はDeNAの売上・利益は2013年をピークにどんどん下がっています。ちょっと笑えないレベルです。売上は2013年の2024億円をピークに現在は70%程度まで減少。営業利益は74%減少しピーク時の26%程度しかありません。一方で資本や資産は増えているので、ROA/ROEという経営効率の指標は大幅に低下しています。依然として低くはない数字ですが、同業他社の指標と比較するとちょっとマズいなっていうレベルです。

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画像: (株)ディー・エヌ・エーの決算推移(四半期毎)

 

現金が豊富な会社なので大きな資金調達は数年ない模様。経営や事業運営が強いのがDeNAです。現在はめぼしいキャッシュの投下先がないのが課題か。

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画像:財政状態 | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】

DeNAの中でのメディア事業とWelqの位置づけ

主力サービスのモバゲーを柱としたゲーム事業の売上が年々低下しているDeNAは次の収益の柱となる事業を必要としています。ベイスターズを中心としたスポーツ事業は大きく伸びません。主力のゲーム事業では任天堂と組みましたがコレも収益の伸びはかなり未知数です。そして自動運転車などの次世代自動車事業に投資もはじめましたが、これも収益化には時間が掛かります。これについては以前に少し書いているので興味があれば御覧ください。

過去記事:IoTとコネクテッドな次世代自動車。モータリゼーション2.0で目指す未来のカーライフ。現在の自動車社会の課題。 - TOKO PROJECT

 

 

その中でも唯一といっても良いほど上手く行きそう(既に順調だった)なのがメディア事業です。DeNAはこれを「パレット構想」と銘打って力を入れています。今回炎上しているWelqだけでなく、こんなにあります。

これで、既存のメディア事業者が駆逐されそうな勢いでいろんな分野にメディアを展開しています。逆にDeNAが進出していないメディアを始めて買収されるという手法もあるかもしれません。。。

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※画像は筆者編集 DeNAパレット|DeNAのキュレーションメディアプラットフォーム

 

旅からアニメ、医療から子育てまで生活に関連するテーマを全て埋めようとしているのがわかります。DeNAはインターネットのベテランプレイヤーかつ、MERYやイエモは買収してキュレーション事業に参入しているのでメディア運営のプロが多数います。

参考:DeNAがiemoとMERYの2社を計50億円で買収、キュレーション事業に参入 | TechCrunch Japan

 

コンテンツ企画→記事の外注(+QC)→PV獲得→アドテクで収益化というモデルを横展開するのは得意なのでしょう。サイト構造もよく似ています。

記事を外注して量産体制を維持しつつも、(SEO的にはGOODな)クオリティコントロールを施して記事の質を一定以上に保ちつつ「記事数×クオリティ」を保つという戦略です。これがWelqに限っては裏目に出てしまっていますが・・・

 

このメディア事業は「キュレーションプラットフォーム事業」と呼ばれ、直近の決算説明資料からも「新規事業」の枠の中で唯一解説にページが割かれています。

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赤枠で囲ったのが該当収益部分です。正直順調に伸びています。四半期ベースで31%の伸びはスゴいです。

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これはパレット構想の合計の利用者数と売上収益の成長を説明した図です。まさに順調そのもの。

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しかし、この手の事業は投資にお金が掛かり、回収にも時間を要します。売上は順調に伸びていますが、SEOで優る為に関連しそうなテーマの記事を量産し、そのほとんど外注しているはずなので、制作コストが先に出ていきます。先ほどの画像を再度見ると、新規事業部分は実は赤字になっています。恐らくパレット構想全体で「圧倒的な記事の量とカバレッジで他のプレイヤーを駆逐してから回収に入るという戦略」なのだと予想しています。その結果が今回のWelqだと言えるのかもしれません。記事の信頼性が大事な医療の分野でも同じことをしてしまったのです。

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DeNAがWelqをクローズするんじゃないか?ウェルクを続けるリスク

DeNAはいずれかのタイミングでWelqを切り捨てるかもしれません。薬事法に気を遣いながら専門家のチェックを受けるというのは「量産」ができません。パレット構想の戦略には合致しませんし、おそらくコストが合わなくなるはずです。今回発表した新しい方針についても「過去の千単位の記事を専門家にチェックさせてリライトする」なんていうのはコストが絶対に合わないはずです。今回の「編集部からのお知らせ」でコミットされている内容が歯切れが悪いのはそのせいでしょう。

参考:【お知らせ】「専門家による記事確認」および「記事内容に関する通報フォームの設置」について|WELQ [ウェルク]

 

ウェルクは現在1,000から2,000の記事がある模様です。80ページで1ページ18記事。

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もし、Welqが一部上場企業であるDeNAではなく、どこか無名の企業の運営だったら、ネットのバッシングを無視してこれまでの方針で突き進むのもありかもしれませんが、一部上場企業であるDeNAは「レピュテーションリスク」のマネジメントが必要です。

運営方法の変更でコストが合わない、更にリスク増加では、サイトクローズなどの早めの決断があるかもしれません。もし炎上が冷めるのを待ってこのまま続けるつもりでいるのであれば・・・ですが。

DeNAが本当はやりたい類いの事業はもっと・・・

 

DeNAって本当はソーシャルゲームや単価の低い外注ライターを使った質の低いメディア事業を志している企業では無いはずなんです。社会的に意義がある事業を志す企業であるはずなんですよ。元々は!

 

遺伝子検査・治療などのヘルスケア分野とか

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画像:遺伝子検査ならMYCODE

 

AI×IoTの次世代自動車事業とか

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画像:DeNA AUTOMOTIVE | 自動車 × インターネットで新しいモータリゼーションを。

 

こーいう事業で目立って欲しいですね!!!!その為にもWelqのレピュテーションリスクが足を引っ張りませんように。期待しています!